魅惑のオパール ~石に宿る想い~(後編)

魅惑のオパール~石に宿る想い の後編です。

ー 静かな予感 ー

受け取った日の夜、少しの微熱。
疲れかな?と思い、ただベッドに横たわるしかなかった。

体調が戻るまでに一週間。
けれど、今度は咳喘息が再発し、日中も夜中も咳が止まらない。
息が苦しくなるたび、なぜかふと思い浮かぶのは、あのオパールの姿だった。

オパール
(このお話に出てくるオパールではありません)

ー オパールを視てもらう ー

視える方(いわゆる霊感のある方)にオパールの状態を見てもらった。

「悪いものではないけれど、少し落ち着かない感じがする。
しばらく目につかない場所に置いておいた方がいいかもしれませんね。」

その言葉に背中を押され、急いで引き出しにしまった。
でもそのとき、不思議と胸の奥にちくりとした感覚が残った。

ー想いが揺れるときー

週末、また熱が出て寝込んだ。
気になるのはやはりオパールのこと。

もしかして、この子は前の持ち主のそばにいたかったのかもしれない。
「綺麗でしょ?」と微笑むようだったあの姿。
今は引き出しの奥で、寂しがっているのかも……。

この石は、想いを込められてきた
だからこそ、急に違う手に渡ることに戸惑っているのかもしれない。

― 決意と変化 ―

返そう

そう思った翌朝、熱が引いて咳も和らいだ。

持ち主のもとに返すとき、体調のことは話さなかったけれど、こう伝えた。

「この子、あなたのことが大好きみたいです。
無理に離す必要はないと思います。
いつかきっと、自分で行き先を選ぶ日が来ると思いますよ。」

その方はオパールに語りかけるように微笑んで、

「そんなに一緒がいいの?じゃあ、もう少しそばにいようか」
そう言って、オパールをそっと両手で包んだ。

その瞬間、ふたりが嬉しそうに見えたのは気のせいじゃなかったと思う。

オパール

― 石が教えてくれること ―

石には、記憶や感情とまでは言えなくても、
たしかに人の想いや時間を受け取って、何かを感じているように思える。

今回の出来事は、石との関わり方をあらためて考えさせてくれる、
そんな大切な体験になりました。